INSIDE HEROES - テーマ館 / 全ての生命はつながっている。植物を中心に Fri, 26 Jun 2026 01:04:29 +0000 ja hourly 1 自然・アート・テクノロジーが交差する「明日の風景」を求めて /story/ou-sugiyama/ Mon, 13 Apr 2026 03:00:00 +0000 /?post_type=story&p=60 ご来場いただくみなさまへ テーマ館では、「すべての生命は…

The post 自然・アート・テクノロジーが交差する「明日の風景」を求めて first appeared on テーマ館.

]]>
ご来場いただくみなさまへ

テーマ館では、「すべての生命はつながっている、植物を中心に」をコンセプトに、人間を含む地球上のあらゆる生命と植物との関係性を、最先端の研究をベースに楽しく体験していただけます。
そして、「体験」は、パビリオンの中だけで終わるものではありません。ここを訪れたことが、植物をより身近に感じ、日々の生活で小さな一歩を踏み出すきっかけになれば──そんな願いを込めて、テーマ館では種入りの紙「シードペーパー®」をお渡しします。
ご自宅で芽吹いた植物の写真を共有いただくことで、それらは展示されるアートの一部となり、作品はみなさんと共に成長し続けます。このワクワクする共創体験を通して、横浜から新しい「明日の風景」を一緒につくりあげましょう。

シードペーパー®

ART+TECH(アート・テック)プロデューサーとしての原点

―「ART+TECHプロデューサー」とはどのようなお仕事ですか。

杉山

一言で言えば、「その場所に行かなければ体験できない価値」を、アーティストやクリエイターと共につくる仕事です。ARTは自由な発想で新しい問いを投げかける表現。TECHはそれを具現化する最新技術。
この二つを掛け合わせることから「ART+TECHプロデューサー」と名乗っています。効率重視でどこも似た景色になりがちな現代だからこそ、遠くからでも「ここに行きたい」と思える目的地(デスティネーション)をつくりたい。空間そのものを作品化し、唯一無二の体験を生み出すことが私の役割です。

撮影:中川文作

―この仕事を目指したきっかけは何だったのでしょうか。

杉山

画家だった祖父の姿が原点です。画室で朝から晩まで楽しそうに筆を走らせる祖父を見て、「アーティストとはなんて素晴らしい仕事なんだ」と子ども心に憧れました。私自身も表現者を目指し、学生時代には街中で映像投影をするなどの街を舞台にした活動も行っていました。しかし、公共空間に勝手に手を加えることは許されません。「自由な表現」の難しさと、トップアーティストとの才能の差を痛感しました。
そんな折、ふと視点を変えてみたんです。「表現することに制約があるなら、そのルールを決める『空間』をつくる側に回ればいい。そうすれば、アーティストが存分に力を発揮できる巨大なキャンバスを用意できるはずだ」と。何もない更地を、新しい表現で埋め尽くす。そのワクワク感が、今の私のプロデューサーとしての原動力になっています。

撮影:中川文作

―これまでのご活動の中で、特に大きなターニングポイントとなったプロジェクトを教えてください。

杉山

私が常に挑戦してきたのは、「モニターの中(2次元)にあった表現を、いかに3次元の空間へと解き放つか」ということです。その流れの中で、大阪・関西万博での取り組みは非常に大きな経験でした。
映画監督の河瀨直美さんがプロデューサーを務めたシグネチャーパビリオン「いのちのあかし」で、私は計画統括ディレクターとして並走しました。万博というと、展示で答えを提示する場だと思われがちですが、私たちのパビリオンでは展示物を並べるのではなく、映画館のような空間で、スクリーン越しに「会場にいる一人」と「世界のどこかにいる一人」が、初めて出会い、10分間だけ対話をする。リアルタイムに繰り広げられるのは、編集不可能なドキュメンタリーです。最初は緊張している二人が、言葉を交わす中で少しずつ心を開いていく。その空気の変化を、観客も話者もスタッフも、固唾を呑みながら空間全体で共有する体験です。
会期中、1,500回以上このプログラムを実施しましたが、多くの方が涙を流されました。人は「本物の人生」や「本物の感情」に触れた瞬間に、より深く心を動かされる。そのことを、大阪・関西万博という舞台で改めて実感しました。

大阪・関西万博「いのちのあかし」関連の写真

©LESLIE KEE

2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)への挑戦

GREEN×EXPO 2027では、どのような展示を目指していますか。

杉山

テーマ館の主題は「すべての生命はつながっている、植物を中心に」です。私たちは普段、人間中心で世界を捉えがちですが、本物の世界は、実は植物をはじめとする多くの生命に支えられて世界は成り立っています。そのつながりを、大阪・関西万博で確信した「本物が持つ力」と共に、今度は「植物」という主役を通じて体験として感じていただく。それが、持続可能な社会を考えるきっかけになればと願っています。
展示では、土の中の世界を体験できる空間や、映像技術によって植物の時間軸を目に見える形にする展示など、会場に来ていただくからこそ体験できるコンテンツを用意しています。 そして、今回はNHKグループの皆さんと共に、テレビ(平面)の世界を空間に解き放つことに挑戦しました。映像と空間が融合して生まれる圧倒的な体験価値を、ぜひ会場で感じていただきたいですね。

テーマ館関連の写真

The post 自然・アート・テクノロジーが交差する「明日の風景」を求めて first appeared on テーマ館.

]]>
風土とともに呼吸する建築 /story/kai-araki/ Mon, 25 May 2026 01:00:00 +0000 /?post_type=story&p=247 ご来場いただくみなさまへ 一見、不思議な形に見えるテーマ…

The post 風土とともに呼吸する建築 first appeared on テーマ館.

]]>
ご来場いただくみなさまへ

一見、不思議な形に見えるテーマ館ですが、一つひとつの要素に自然のことわりが宿っています。上瀬谷の風土を読み解きながら導き出した、木造建築の新しい形。巨大な樹木に分け入るような感覚でこの建築をめぐり、この地の豊かな自然に溶け込む心地よさを、是非味わってみてください。

テーマ館デザイン監修に込めた思い

今回のデザイン監修について、お声がかかったときはどのように感じられましたか。

荒木

こうした国際的な博覧会には、革新的な提案を受け入れてくれる土壌があります。新しいことや、チャレンジングなことが好きな人間として、このプロジェクトのお話をいただいたときは、純粋に胸が躍りました。
今回のテーマは、環境配慮型の新素材「CLT(直交集成板)」を駆使した、圧倒的なスケールの木造空間への挑戦です。設計図に描いた理想が、実寸大の建築になるまでしっかり見届けたい。そんな思いで、今も定期的に現場へ足を運んでいます。

植物の生存戦略に見る建築の知恵

独創的な形状は、どのような発想から生まれたのでしょうか。

荒木

今回の建築は、まず「植物のような建築」や「生物としての建築」という発想からスタートしました。私自身、自然界の造形や仕組みには強く関心があり、子ども時代は片道1時間半の通学路を、森を観察しながら3時間かけて下校していたほどです。
そうした原体験や、東北復興支援プロジェクトで出会った「気仙けせん大工だいく」の知恵が、デザインの大きなヒントになりました。彼らの伝統的な技法には、屋根を支える「はり」を下から上へ向かって順に小さくし、上部を軽くしていく構造的な合理性があります。
重いものを下に、軽いものを上に配置することで、建物への負担を抑え、安定感を高める。この合理性を突き詰めた先に、太い幹から枝へと広がりながら軽やかになっていく、樹木本来の姿が浮かび上がってきました。

©KENGO KUMA & ASSOCIATES
梁イメージ(下層は太く長く、上層ほど細く短くなる構造)

地中のあり方にも独自の思想が込められているそうですね。

荒木

地面と建物をつなぐ「基礎」についても、植物の生き方に倣った工夫を凝らしています。一般的な建築では地面を全面的にコンクリートで覆うことが多いですが、今回は室内環境への影響がないエリアに限定して、基礎のボリュームを最小限に抑える形状としました。
資材の量を減らし環境負荷を抑えることはもちろんですが、それ以上に、土を地続きに残すことで、地中で根を張り巡らせ、養分を分かち合う植物のネットワークを、建築でも体現したいと考えたからです。あえてコンクリートを打たず、土がむき出しの場所を設ける試みは、前例がないゆえの難しさもありました。しかし、こうした細部へのこだわりが、真に心地よい空間を生むのだと信じています。

©KENGO KUMA & ASSOCIATES

©KENGO KUMA & ASSOCIATES

基礎イメージ(全面を覆う「ベタ基礎」と、今回の「布基礎」の比較)

―この建築を上瀬谷の風土に、どう調和させたのでしょうか。

荒木

根があり、そこから幹が立ち上がり、枝が広がっていく──それが樹木の基本的な姿です。しかし、その根がどう張り、枝がどちらへ伸びていくかを決めるのは、その土地固有の環境条件に他なりません。この建築も同じです。上瀬谷の地形、そこを流れる風、差し込む光。そうしたこの場所特有の環境条件を一つひとつ読み解いていった先に、自然とこの形が決まっていきました。
例えば、この敷地では風は南から北へと吹き抜けていくことが多いため、その流れに合わせて1段目の壁柱を川のように整え、空気がスムーズに通り抜けるルートを確保しています。さらに南側に植栽を施すことによって、蒸散作用で冷やされた空気の流れを作り出す自然冷房のような仕組みを構築しました。
無数の要因に対し、デザインで一つひとつ最適解を導き出す。その試行錯誤の過程は、上瀬谷という土地に合わせて自らの姿を最適化させていく、樹木の成長とも重なります。

©KENGO KUMA & ASSOCIATES
壁柱イメージ(南から北へ、風の道が川のように見える角度)

The post 風土とともに呼吸する建築 first appeared on テーマ館.

]]>
報道マンが挑む「空間ドキュメンタリー」 /story/akihiko-uchida/ Thu, 18 Jun 2026 01:49:29 +0000 /?post_type=story&p=337 ご来場いただくみなさまへ テーマ館では、みなさまがシード…

The post 報道マンが挑む「空間ドキュメンタリー」 first appeared on テーマ館.

]]>
ご来場いただくみなさまへ

テーマ館では、みなさまがシードペーパー🄬から育てた植物の投稿写真がシンボルツリー『きぼうの樹』となり、展示を鮮やかに彩ります。植物を育て、写真を撮り、投稿する――みなさんの一連の行動が、GREEN×EXPO 2027を共につくる大切な要素になるのです。ぜひEXPOの一員として、この空間に飛び込んできてください。きっと、あなたと植物の間に生まれる一つひとつの小さなドキュメンタリーが、「幸せを創る明日の風景」へとつながっていくはずです。

二つの花博を結ぶ、映像の軌跡

―これまでの歩みについて教えてください。

内田:

大学を卒業して最初に入った映像制作プロダクションでは、コマーシャルや学術映画、テレビ番組など、映像に関わるあらゆる仕事を経験しました。企画から制作まで幅広く携わる中で、「自分が本当にやりたいドキュメンタリーを、基礎から学びたい」という思いが強くなり、30歳でアメリカの大学院へ留学。帰国後に現在の会社へ入社して以来、四半世紀以上に渡りテレビ番組の制作一筋でやってきました。
中でも最も思い入れがあるのが、自ら立ち上げたNHK WORLD JAPAN(国際放送)の番組『CYCLE AROUND JAPAN』です。外国人サイクリストが自転車で日本各地を巡るこの番組では、自転車だからこそ出会える絶景や、地域の人々との豊かな交わりが鮮やかに浮かび上がってきます。そんな等身大の旅のスタイルが海外の視聴者の心に深く響き、おかげさまで12年目を迎える人気番組へと成長しました。

©NHK WORLD JAPAN

―GREEN×EXPO 2027への参画が決まった時、どのように感じられましたか。

内田:

実は今年で65歳を迎え、おそらく今回のプロジェクトが私のキャリアにおける最終盤の挑戦になります。思い返せば、前職で最後に携わったのは大阪・花の万博(EXPO’90)の仕事でした。実に30有余年の時を経て、再び万博に関わらせていただいている。この不思議な巡り合わせには少し特別な思いがあります。
その一方で、新たな課題も見えてきました。私がこれまで制作してきたテレビ番組は放送されて終わりですが、テーマ館での展示は半年間、その場に在り続けます。表現の手法も全く異なり、ナレーションやテロップといった言葉による説明には頼れません。来場される方がご自分のペースで進みながら、何かを感じ取れるような空間づくりが求められるのです。プレッシャーは大きいですが、表現者としてこれまで培ってきたものをできる限り投入して、この挑戦を形にしたいと思います。

みんなで育てる『きぼうの樹』

―テーマ館では、どのような展示を目指していますか。

内田:

地球が安全に保たれるための限界点を示す「プラネタリー・バウンダリー」という指標では、すでに9つのうち7つの項目で限界を超えていることが明らかになっています。地球環境は今、まさに危機的な状況にあるのです。楽観視できない状況下で開催されるGREEN×EXPO 2027だからこそ、展示を担当させていただく私たちは、みなさまを単なる来場者ではなく、共に地球の未来をつくる「参加者」としてお迎えしたいと考えました。
そんな折にテーマ館を統括する杉山ディレクターから教えていただいたのが、「シードペーパー🄬」です。そこから浮かび上がってきたのが、植物の種が漉き込まれたこの紙を持ち帰って水をやり、成長過程を写真に収めて投稿していただくという参加型のプロジェクトでした。そうして写真となって舞い戻った一枚一枚が集まりながら、テーマ館のシンボルツリー『きぼうの樹』を成長させていくのです。

大上段から「環境を守りましょう」と伝えるつもりはありません。私たちがご提供するのは、毎日水をやり、自分の手で花を咲かせるという体験です。お一人おひとりが植物と向き合うこの体験を、地球の未来について自分事として考えていく第一歩にしていただければと願っています。

―シードペーパーには深いメッセージが込められているそうですね。

内田:

実はシードペーパーそのものが、「一度役割を終えたものに、新たな命を吹き込む」というメッセージを持っています。
原料は、出展予定の企業や団体から提供いただいたシュレッダーゴミ。それを手漉き和紙の職人さんが種を漉き込みながら再生し、さらに印刷やカット、組み立てといった工程を、障害のある方々が担っています。伝統工芸の継承を支え、福祉的な雇用を生み出し、最後は花を咲かせて土に還っていく。この循環は、私たちがテーマ館で表現したい「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の縮図そのものです。

手渡されたこの一枚が、みなさまの日々に寄り添い、小さな驚きや喜びを運ぶ存在になってくれると嬉しいですね。

The post 報道マンが挑む「空間ドキュメンタリー」 first appeared on テーマ館.

]]>